自衛隊が東京23区全域で単独防災訓練?

●武器を携え、顔にも迷彩を施した自衛隊員らが、幼稚園児や住民の行き交う街中で市街地行軍訓練をしたのは、6月12日。東京は板橋区と練馬区でのできごとでした。

 

●その記憶も覚めやらぬまま、こんどは7月16~17日にかけて、東京23区全域で部隊展開の訓練をするというのです。名目は「災害対処訓練」。総数250人が2~15名に分かれ、16日午後7時に練馬駐屯所を出て、幹線道路や繁華街をとおって区役所や公園などへ徒歩で向かうそうです。その際に被害状況などの情報収集訓練をする。区役所などで通信訓練をするために、施設内での宿泊や車中泊をする。迷彩服姿で、「訓練実施中」の文字はヘルメット側面に表示されるだけといいます。

 

●そもそも、自衛隊法の建前では、災害出動は自治体の要請が前提となっていますが、この訓練に自治体はいっさい関わっていません。自衛隊単独の訓練です。そういう災害訓練が実際にどういう力を発揮するのか、とても疑問です。災害訓練であれば、識別しにくい迷彩服着用は筋違いでは? 

 

●自衛隊は過去にも「災害訓練」といつわって、ゲリラ戦闘訓練を行ったことがあります。2006年5月11日、自衛隊が練馬区などに対して「地震災害等に備え日没後のヘリコプターによる離発着訓練を行う」と事前告知をしました。ところが、その後、情報公開によって訓練の命令書を入手したところ、そこには「ゲリラ戦闘訓練」と記載されていたのです。

 

●16、17日に予定されている訓練も、細かい内容は対ゲリラ、特殊部隊への対処と共通した内容をもっているといいます。真の目的がそこにあるなら、自衛隊は東富士演習場に25億円の血税をかけてつくった市街地戦闘訓練場があるのですから、そこを使えばいい。それが完成したのは2006年3月ですから、前項の練馬区での「本当はゲリラ戦闘訓練」を出来立てホヤホヤのその訓練場でやれたのでは?と思うのですが……。 

 

●ということで、今般たてつづけに住民の生活の場に迷彩服の自衛隊が出て行くことになりますが、「軍隊がいる光景」を日本の日常にされたのではかなわない、と思います。

 

●そういえば数年前、金谷山の前の山麓線をやはり武装迷彩服の自衛隊の隊列が昼日中に行軍訓練をしていたことを思い出しました。偶然山麓線を走っていた知人がそれを見て車を停めて写真を撮ったら、自衛官に抗議されたそうです。知人は「なにが悪い」といって平然と車に乗って帰ったらしい。