「非戦を選ぶ演劇人の会」が沖縄の闘争を演じる

●「非戦を選ぶ演劇人の会」という会があります。2003年に結成された会で、渡辺えりさんや松田美由紀さん、高橋長英さんなど42人が実行委員をして、夏に「ピースリーディング」と名づけた朗読劇などを公演してきました。 リーディング台本の構成者および作者は、多くの人にその内容を広めたいという意図のもと、台本の著作権を放棄し、上記ウェブサイトで台本を公開しています(!)。会も寄付によって運営されているようです。すごいですね。

 

●その15回目の公演「私(わん)の村から戦争が始まる~沖縄やんばる・高江の人々が守ろうとするもの~」が、18、19日に東京で行われました。米軍ヘリパッドの建設中止を求めて座り込みを続ける、沖縄本島北部の東村高江(ひがしそん・たかえ)の人々の戦いを描いた朗読劇でした。

 

●高江は約160名という小さな集落です。隣接する「やんばる」の森に米軍北部演習場があり、ジャングル戦闘訓練が行われています。ヘリコプターが電線スレスレに飛びかうのが日常という耐え難い基地被害の中で暮らしてきた住民たち。

1996年に日米両政府の「SACO合意」によって、その演習場の半分が日本に返還されることになって一時は喜びました。ところが、ある日、高江集落を囲むように、米軍のヘリパッドを6つ増設する工事が始められたのです。まるで、ヘリパッドの中に高江集落を閉じ込めるように。

 

●これ以上我慢ならんと立ち上がった住民たちは、昨年の7月から工事入り口での座り込みを続けています。ここにオスプレイが飛んできたら……。高江が人の住めない場所になってしまわないよう、住民たちは闘いを続けています。

詳しい情報は「やんばる東村 高江の現状」に詳しいので、ぜひご覧下さい。WWF(世界自然保護基金)ジャパンの声明もどうぞ。

 

●演劇にはガレッジセールのゴリさんが18日の回に出演しました。ゴリさんは沖縄出身の芸人で、以前テレビで沖縄の風習を身振り手振りで説明して場を盛り上げていたのを見たことがあります。沖縄では、ビックリすると魂が落っこちるので、それを拾わないといけないといったような風習があるそうで、そのほかにも沖縄のことを身振り手振りで説明して場を盛り上げていました。その言動に郷里への誇りと愛着が感じられて好感を持ったことを覚えています。

 

●その番組に出演していた別の沖縄出身のタレントがこう言いました。沖縄にいると基地の問題が常に身近にあるのに、本土にきたら誰も沖縄の基地のことなんて関心がないし、知らないし、こんなに違うんだなと思った……といったような言葉でした。うん、うん、そう、そうと、同郷タレントたちがひな壇に居並ぶバラエティ番組でしたが、そこだけ神妙な顔つきで皆さん頷いていました。カットされずにオンエアしてくれてよかった…。

 

●さて、オスプレイが着々と日本に向かっています。全国知事会が19日、「オスプレイ配備反対」の緊急決議をあげました。当初の議題にはなかったそうです。かつてない怒りがあることをここにも感じます。

こうなってみて初めて「沖縄の苦しみは“本土”に住む私たちの苦しみ」……となるのだとしたら、それはオスプレイ問題の唯一の「功」かもしれません。それ以前からの沖縄の小さな集落の闘いを東京で演じた「非戦を選ぶ演劇人の会」に拍手を贈りたい。「ノー・オスプレイ! ノー・米軍基地!」と日本中が声を合わせ、いまこそ国民の力で政治を動かしたいときです。