与那国町で住民投票請求が否決、署名簿流出の事件も。

琉球新報より(一部加工)
琉球新報より(一部加工)

急に涼しくなって夏の疲れが出たのと、職場の人員変動による過密労働と、更年期のボテボテ(たぶん)の三悪のせいで、最近家に帰ってもグッタリ。きょうは新聞を読む気力なし。そんな言い訳をしながら、気になったニュースを少し。

 

与那国町の議会が、自衛隊誘致を決議したのが2008年。 それの賛否を問う住民投票条例設置請求署名が行われ、全有権者の48%が署名して、充足数を大幅に上回った。ところが、この署名簿の全氏名が流出したという事件。

 

それまでにも異常事態は続いていた。縦覧中の署名が抜き取られたり、選管を巻き込んで「署名取り下げ願い」が大量に出されたり。選管は取り下げ数を回答しなかったにも関わらず、流出した署名簿には全員の職業や取り下げ数が明記されていたという。組織的な関与が伺われるというのももっともな話だ。日本最西端の小さな島を「日本の暗黒時代」のような闇がうごめいている?

 

その住民投票請求がきょう、町議会で否決された。賛成2対反対3だったという。

 

台湾まで111km、晴れた日には島影が見えるという。島の近辺まで外国漁船が通ることもあるという。台湾の花蓮市と姉妹都市になって今年は30周年。9月20~23日に花蓮市で行われた記念式典に出席したばかりの外間(ほかま)町長は、きょうの台湾漁船などの動きに驚きながらも、

「過激な行動をとるのは一部だと思う。大事なのは民間交流。これからも誠意をもった交流を続けていく」

と語っている(読売新聞サイト)。

 

だったらなおのこと、自衛隊基地を置くのはどんなものだろうかと思う。結果的に何をもたらすかを脇に置けば、島の経済状況をなんとかしたいという理由が地元民にあるのは理解できなくはない。尖閣諸島の南南西という位置関係のため、自衛隊にいてほしいという気持ちの島民がいるのも事実だろう。顔の見える人間関係のなかで、住民投票請求に島民の48%が署名したというのは重い。運動主体者は、投票条例設置のあかつきには行政による丁寧な町民説明会をすることを求めていた。島の未来に関わる問題を、議員といえども、たったの5人で決めてしまってよいのか。

 

それにしても、自衛隊はいま、違法な個人情報の収集活動が問題になっている。ことし3月26日には、国民監視差止め訴訟の判決が出され、国に賠償が命じられた。

 

 自衛隊ではないが、その昔、井上ひさし主催の生活者大学に参加したときのこと。警察官が私服で参加者になりすまし、参加者名簿を入手していたのを地元の参加者が発見して糾弾し、会場がざわついたことがあった。井上さんはうまく場をとりなしたが、こんなところにまで……と感心(?)するくらい、権力による監視・情報収集は日常的に行われているのだと思い知った経験がある。

 

もっとも、非権力者である国民の側からすれば、収集した情報を何の目的で、いつ、いかように使うために準備しているのかが、一番知りたいところだ。

中国の民権活動家に対する弾圧をみればわかる?と言われそうだが、それが将来の日本の姿になっては困る。日本維新の会の橋下大阪市長の考え方ややっていることを見ると、大げさとは言えない恐さを感じる。今回の与那国町での署名簿流出が権力による違法な情報収集と関わっていないのかどうか、どういう目的で誰が署名簿をつくったのか、とことん追及してほしいところである。