ベアテ・シロタ・ゴードンさんへの感謝

●ベアテ・シロタ・ゴードンさんが12月30日になくなりました。

憲法第24条、婚姻における個人の尊厳と男女平等を定めたこの条項の草案をつくったのは、当時22歳のベアテさんでした。

 

父親の仕事の関係で幼少期の10年間を日本で過ごしたベアテさんは、憲法草案を討議するGHQ側と日本政府側の通訳として、英訳するのが難しい日本語の意味や日本の慣習などを米側に伝え、日本側の見解を擁護したこともあったため、その実力もあいまって日米両側から信頼を得ていたと言われます。

 

くだんの男女平等条項については、日本側は「日本の伝統、習慣と相容れない」として拒否を続けました。

しかし、アメリカ側が、「ベアテ・シロタさんは女性の権利を心から望んでいるので、それを可決しましょう」と日本側に提案、ベアテさんが男女平等の草案を書いたことを知らなかった日本側はびっくりして、「それではケーディス大佐が言う通りにしましょう」と同意し、現在の24条が固まった、そうです。

 

●憲法の成立過程をもって「押し付け憲法論」が言われます。しかし、GHQは日本の民間の「憲法研究会」の草案が新聞紙上に報道されると、これを参考にして各国の憲法を研究して草案を作成したことが知られています。

ベアテさんが作った草案だからといって、私はこれを押し付けられたものとは思いませんし、むしろ、感謝をしたいと思います。

 

●GHQ側の実務担当者であったケーディス大佐は、この憲法の目的は日本を永久に非武装のままにすることにあったと述べています。そういう発想はたしかに「憲法研究会」の草案にはありませんでした。日本を永久に非武装にしようとしたGHQの思惑はなんだったのか。それはまた今度。