高田世界館ロケの「シグナル―月曜日のルカ」が上映されます

シグナル 月曜日のルカ
予告編より

●高田世界館(旧高田日活映画館)を舞台に若者の葛藤と成長を描いた青春ミステリー映画「シグナルー月曜日のルカ」が、今月10日から26日まで当館で上映されるとのこと。当館としては異例のロングラン(?)ですね。世界館だけでなく、本町通りや儀名川沿い、中央5、医療センター病院なども登場するらしいです。

 

●高田世界館では「ふみ子の海」をはじめ、この6月にも新藤兼人監督の「縮図」を上映するなど、ご当地映画(?)の紹介に力を入れていますね。

「シグナル~」には上越映画鑑賞会のメンバーもセリフのあるエキストラで出演し、当館の映写技師が主人公に技術指導をしたとのことです。

上越映画鑑賞会の増村さん上越九条の会の呼びかけ人でもありますが、「まさに日本版『ニュー・シネマ・パラダイス』」と映画鑑賞後の感想を語っています。

高校生からの若い人は映画の主人公にわが身を重ねられる映画でしょうし、中高齢者にとっては映画が大衆娯楽文化の中心だった時代に思いを馳せられる映画のようですね。まだ見ていませんが……。

 

●高田世界館は明治44年に芝居小屋「高田座」として誕生しました。この頃は楽屋や茶店もあり、建物は儀名川沿いまで奥行きがあったそうです。映画が台頭したため映画館に改装し、大正5年から「日活世界座(“館”という記事もある)」となりました。その後幾多の変遷を経て、「高田日活映画館」という成人映画中心の映画館になったのが昭和50年。私にはポルノ映画館としての記憶しかなかったため、昭和50年からとは意外に感じましたが、昭和30年代の映画最盛期以降、たとえば東映が時代劇からやくざ映画、さらに子供まんが劇場へと経営の主軸を変えていき、それでも斜陽に歯止めがかからなくなったのがこの頃だったでしょうか。以来平成21年まで経営され、その後「街中映画館再生委員会」が建物を譲り受けて「高田世界館」となりました。

女性の私としては、ポルノ映画館の記憶が強くて建物自体にも拒否感がありましたが、長い歴史の中におけば、よくぞ生き残ったと褒められるべき建物なのですね。

 

●というのも、第二次大戦末期の昭和20年8月1日に長岡市が大空襲を受けて市街地の8割を焼失しました。これを受けて、新潟県は8月6日、新潟・柏崎・高田・三条の4市と、それに隣接する町村に対して、第三次建物疎開を命令しました。高田は本町など市街地の建物が強制的に取り壊されたのです。延焼をふせぐために歯抜きのように建物を壊したそうです。

 

●だから、高田世界館は、このときに取り壊しの対象にならずに生き残った建物なのです。

思えば、私たち全員も戦争の生き残り。戦争から生き残った私たちが、ともに戦争の生き残りであり、明治からの大衆文化の生き残りでもある高田世界館をこれからどこまで生き延びさせることができるか。商業主義の映画館ではなく、住民と観客が主人公の高田世界館ですから、その命運は私たちの文化度にかかっていると言える……?!