ツツ元大主教がイラク開戦責任者の訴追を要求

南アのツツ元大主教が、2日付のイギリス紙「オブザーバー」に寄稿し、イラク戦争開戦をしたブッシュ元大統領とブレア元首相を訴追するよう呼びかけたとの新聞報道が昨日ありました。

ツツさんは国際会議に出席する予定だったのに、上記の理由でブレア元首相と同席するのを拒んで欠席したらしい。

 

ツツ大主教は具体的には、「イラクが大量破壊兵器を保有するとのうそに基づいたイラク侵攻が、シリアとイランの情勢を含め、世界を不安定にし分裂させた」として、「オランダ・ハーグの国際刑事裁判所に訴追されるべきだ」と訴えたとのこと。よくぞ言ってくれました…の一言です。

世界を不安定にし分裂させたことの責任というより、うその情報によって他国を侵攻し罪もない膨大な犠牲者を生んだこと自体が戦争犯罪ではないでしょうか。大量殺人の首班がなぜ裁かれないのか。開戦から9年たったいま、ツツさんは本当に大事なことを指摘してくれたと思います。

 

アメリカ、イギリス、オランダでは政府の独立調査委員会が検証をすすめ、オランダでは「イラク戦争は国際法違反」と結論づける報告書が公表されました。ブッシュ元大統領自身がその後、大量破壊兵器に関する情報活動の失敗を認めています。

日本では、政権についたばかりの民主党と社民が2009年に「イラク戦争支持の検証を」と主張していましたが、結局、国会で検証委員会なるものはできなかったと記憶しています。

いずれにせよ、「情報が間違っていました」というだけで済まされる問題ではないはずです。

 

ただ、アメリカは、ハーグ国際刑事裁判所の加盟(締約国)していません。クリントンのときに署名国となったのを、ブッシュが撤回したという経緯がありました。いまオバマ大統領になってからは協力姿勢に転じています。これまでのアメリカとしては、米国人の訴追をしないように各国に二国間協定を要請するなど対策をとっており、完全に防衛してからの加盟を考えているのか?

加盟国でないので、訴追できないのかも。

ちなみに、侵略については、2010年5月に史上初めて「侵略犯罪」の定義がここで確定したらしい。

もう一つちなみに、国際刑事裁判所の条文第7条の人道に対する犯罪は、日本軍の従軍慰安婦問題を念頭に置かれた規定とのことです。